有名な「枕草子」の春の1節であります。
こんな落ち着きたる気持ちで四季の釣りを紹介できたらと願うのであります。
春の釣り
春は桜鯛であります。日本古来のおめでたい席に必ず飾られる魚であり、船からは昔ながらの漁師さんのビシ釣り、現代っ子の鯛カブラ、はたまたひとつテンヤ、数々あります。そうそう、浜や磯からの投げ釣りもありますよね。
小生は磯から釣るのであります。そう、俗に言う「磯のフカセ釣り」で真鯛を狙うのです。
春の朝の磯です
この「磯のフカセ釣り」にドップリとはまって○○年。昔はチヌ(黒鯛)狙いでありましたが、近年は放流事業の効果か、はたまたシェルナースの増殖効果か、真鯛が増え「磯のフカセ」でも釣れるようになってきたのであります。自称「磯プロ」を自認する小生がこの獲物を見逃すわけがありません。見逃せません。
磯の真鯛を狙い始めてから約10年になります。4~5月の休日には瀬戸内の磯の上に乗っかっています。今迄に仕留めた獲物は数百匹(段々、話が面白くなってきましたね~~)、真鯛の天敵といわれています。ただ、瀬戸内の磯からの釣りであるがゆえ大物といっても50cm迄でしょうか。
真鯛を狙うようになってからチヌは外道扱いとなりました。当然片端から釣り、その都度次から次に放流し、渡船の船長からは「瀬戸内のチヌを守る会の会長」とまで称されるほどになっています(嘘です)。
さて、今年の5月吉日、場所は小豆島の・・・・。時季外れの強風が吹きつけるなか自称「磯プロ」は今日も前祝いの「のどごし生」を「グビッ~」と一杯飲んだ後、コマセ(魚を寄せる集魚剤)を撒きに撒くのでした。今日も快調であります。すでに数匹の真鯛が・・・・、チヌも・・・・。
ドラマは突然にやって来るものです、そう、やって来たのです。竿3本分沖のウキがマッハのスピードで沈んだのであります。間違いなく真鯛のアタリです、プロの眼力がそう判断します。
合わせと同時にチヌ竿は満月、道糸は20mも引き出されたでしょう(ここで、取り込んだ魚の大きさの難易度の高さが理解できるよう仕掛けの説明を・・・チヌ竿1号、道糸2号、ハリス1.75号です。要はキシャな仕掛けです)。
こんな仕掛けで
鬼神の如く釣ってみたいとウキに願掛け(自筆)
やり取りすること約10分、海中に、ピンク色をした目の上のブルーのアイシャドーが眩しい、真っこと美しい真鯛が浮いてきたのです。その姿を確認した時
「こりゃ~~~絶対、獲ったる、獲っちゃる。獲らにゃ~~~おえん(方言)」
と叫んだのであります。
最後の抵抗の「ひとのし」を、数々の修羅場を踏んだキャリアがなせる華麗な竿捌きでいなし、玉網に収めたのです。
「ほんに、お前は食った餌(釣り人)が悪かったの~~~」
と一人つぶやき「グビー」と本当の祝杯をあげたのであります。そして、お付き合いしてくれた獲物と、素晴らしい海に感謝したのであります。
お疲れ様でした