秋の釣り
秋の釣りとなると、普通はハゼ釣りか飯蛸釣り、はたまたゆったりとした秋磯での釣り、というのんびりした風景を思い浮かべますが、小生の場合は違うのであります。
夏の釣りで紹介した「鮎の友釣り」は6~8月と書きましたが、小生の「友釣り」は、とある時を境に9月(初秋)が最盛期となったのであります。では、
岡山への転勤
「友釣り」に狂った病人が○○年前岡山(郷里)に転勤したのです。当時、岡山の川は友釣りのメッカでした。都会から帰った小生には信じられませんでした。車で30分~1時間も走れば竿が出せるのです。水も奇麗で魚も多く、そして釣果にも恵まれ、まさに天国に来た気分です。
ましてセンスの良さと研究熱心な小生は、釣行の都度、30匹、50匹(自慢じゃないが他の人の数倍は・・・・)の釣果です。いつでも魚屋が開けると思っていました(冗談ですよ)。1日の最高釣果は○○川で114匹であったと記憶しています(注・・現在は河川状況の悪化と鮎の質が悪くなってしまい見る影もありません)。
この頃は8月末には竿を置いていました。そして、大きいといっても24~25cm迄でした。
そして尺鮎へ(秋の釣り)
球磨川の大鮎です(これで28cmです)
この時、驚愕の魚を目にし、そして手にしたのです。27~28cmの鮎です。まさに鯖のような鮎です「これが鮎?」と思わず言葉が飛び出しました。さあ、これからが大変です。生来の「負けん気」と「研究熱心」さが鎌首をもたげます。
皆さんの食卓に上がる鮎は大きくても20~23cm程度だと思います。中学生の頃の数学を思い出してください「面積は長さの2乗に比例し、体積は3乗に比例する」。これを鮎釣りのパワーに変えると「18cmまでは小学生、20cmで中学生、23cmで高校生、25cmで大学生です。さあ、これが27、29となり、30になると・・・・2乗3乗、4乗」と倍々になるのです。それほどパワーが強くなるのです(ほんと~~~~です)。
上が大鮎用の針 下が初期の鮎用
当然自分で巻きます、願いをこめて
球磨川もうで
友釣りに狂った病人の「球磨川もうで」が始まりました。お盆を過ぎると土・日は都合の付く限り遠征です。
そこは日本三大急流の球磨川です。流れの強さと水量は半端ではありません(だから鮎も大きくなるのです)。いくら好きとはいえ、流されて生死の間をさまよってはいけません。だから釣り装束は流されても浮いて助かるようウエットスーツなんぞを着込みます(とても釣りの姿ではありません)。
同じ病気に罹った人との出会いも沢山出来ます。もう頭の中は「尺鮎」がグルグルと泳ぎ回っている病人の集団です。そう、川中での格闘技大好き人間の集団なのであります。
30cm迄のサイズはいくつも掛けました。28~29cmはざら、果ては尻尾を引き伸ばし、伸ばしてやっとの30cm。しかし尺(30.3cm)には届きません。この0.3cmが大変大きな壁なのであります。
日本三大急流の球磨川(この川底に大鮎が居ます)
流されてしまうと命の保障が・・・・・・・・・。
釣り人(球磨川本流)
夢の尺上
3年前の事です。この年は川の状況も良く、9月に入ると28~29cm台がよく掛かりました。その日の事は忘れもしません。朝方、瀬の中に囮を差し込むと「ドカン」と一発。敵は強烈なパワーで剛竿を絞りこみます。竿は満月でギシギシと、糸はギュンギュンと糸鳴りし、瞬時に尺鮎と確信しました。
小生はほとんど「引き抜き」で取り込みますが、大きくなると2匹も同時に玉網に受けることが出来ません。独特の取り込み方法の、振り子抜き(専門用語で申し訳ない、理解できる人には理解できます)で獲物をキャッチします。一見で尺オーバーを確信しました。
これが長年追い求めていた「尺鮎」なのだと思うと、一瞬頭の中が真っ白になりました。そして「大願成就」の余韻にひたったのであります。この鮎は囮として使うことも無く大事に「別のおとり缶」にキープしたのでした。
この日は格段に状況がよく、その後も28~29cmが掛かります。目が慣れてくると大きさの感覚にズレが発生します。夕方には当日の最長寸(31.5cm)がかかったものの、尺もあるとは思わず、これを囮として使っていました。
河川の恵みに感謝です
次の目標は一尺一寸です